東堂くんは喋らない。




すると、それまで無言だった東堂くんが、私の言葉を遮り突然そう宣言した。




……俺も行く、って…




「…どこに?」



「…は?花火大会…しかないでしょ」




へぇ、そっかー、花火大会に…




「花火大会!?」



「…さっきそっちが行きたいって言ったんじゃん」




じとー、と、外に降る雨の100倍くらい陰鬱な視線を送ってくる東堂くん。




「…それとも何?俺とは行きたくないって?」



「そんなわけないっ!」




思わず、勢い込んで大きな声が出た。




東堂くんも、びっくりしたように目を見開いている。




や、やばい!これは東堂くんと行きたいって言ってるようなもの…!




…いや、でも。



東堂くんと、花火大会行きたいのは…本当だしなぁ。





私は、ゆっくり顔をあげた。




東堂くんと真っ直ぐ目があう。





< 115 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop