東堂くんは喋らない。
すると、それまで無言だった東堂くんが、私の言葉を遮り突然そう宣言した。
……俺も行く、って…
「…どこに?」
「…は?花火大会…しかないでしょ」
へぇ、そっかー、花火大会に…
「花火大会!?」
「…さっきそっちが行きたいって言ったんじゃん」
じとー、と、外に降る雨の100倍くらい陰鬱な視線を送ってくる東堂くん。
「…それとも何?俺とは行きたくないって?」
「そんなわけないっ!」
思わず、勢い込んで大きな声が出た。
東堂くんも、びっくりしたように目を見開いている。
や、やばい!これは東堂くんと行きたいって言ってるようなもの…!
…いや、でも。
東堂くんと、花火大会行きたいのは…本当だしなぁ。
私は、ゆっくり顔をあげた。
東堂くんと真っ直ぐ目があう。