東堂くんは喋らない。
「…でもよかったな!」
チャラキモいのダメージから少しして立ち直った山本が、ニッと私に笑いかける。
「来てくれたじゃん、東堂」
「…うん」
正直、なんで東堂くんが急に来てくれる気分になったのかは分からない。
でも、理由はどうであれ、今私はこうして東堂くんと、花火大会に来られているわけで。
「ありがとね、山本」
「は?俺なんかしたっけ?」
「…別に?ただ、山本がああ言ってなかったら、私が東堂くんを誘うこともなかったと思うから」
グッと親指を立てて、山本に向ける。
「グッジョブ、山本」
「…おー、グッジョブ俺!」
「自分で言うなよ」