新選組へ ~ 連理之枝 ~
ついに、この日が来た


間違いない…この前の奴らがいる

山崎さんに目で知らせる

とにかく、酔わせて話を聞き出す


「計画は、進んでいるのか?」

「ああ、反対している奴らも随分こちらに傾いた……楽しみだな」

「犬に紛れさせた奴からは、報告があったか?」

「まだ、決定的なものは無いが、幕府から記憶を無くしたという子供がいるらしい
そいつを拐かせないかなって思ってんだが」

「ほおー興味深いな
記憶が欲しいな……弱みを握る機会だ」

「しかし、俊太郎はまだか」

「あいつは、いつも遅れる」




新選組に間者がいる

俺のことが長州に知られた

結局、どこに行っても迷惑かけるな


「お注ぎします」

手を握られ

ふと気がついた

話を聞くのに夢中で……

山崎さんも、君菊さんも

……いない




嘘……男らが膳をのけて

近づいてくる


襲われる


相手が1人なら、なんとかできるが

3人だ


1人が後ろから羽交い締めにし

前から帯に手をかけられる

動きにくいが、戦うしかないな


スパンッ

「悪ぃ遅くなったな?
全く、武士の風上にも置けないな
お前ら」

ザッシュ ザシュ ザッシュ


ピシャッ


遅れてくると言っていた、俊太郎だろう

仲間であるこの3人を斬った

その血が顔に少しかかった


全身がガタガタと音が出るくらい震えて


「すまない」


ふわりと抱きしめられた

俊太郎から火薬の臭いがした


「おっ…おおきに」

小さい声しか出なかった

「ふっ怖かったか?」

頬を拭われた

先ほどついた血と、涙だ

優しく口づけをされた

不思議と落ち着いて、震えが止まった

俊太郎の顔を見ようと、顔を上げると

目が合い

再び口づけを交わす

なんで受け入れているのか

わからない

優しい口づけが激しく深いものに

変わっても受け入れた










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