新選組へ ~ 連理之枝 ~
【慶喜】


顔や首の傷、背丈も振る舞いも

声だって、すべて夏弥なのに…

東宮様は、男だった


双子だろうか…


中川宮も驚きの表情だった


夏弥は、御所を出て山里に移ったと

そうだ…

もういない


この睦仁様は、本物で夏弥に追っ手がこないように、夏弥も演じてくれたのだろう


しかし



夏弥を見違うなど…あり得ないと思っていた



このように、瓜二つな人間がこの世にいるとは…


宴の前に、天子様と東宮様は、席を外す

その際に、尋ねられた

「慶喜?お芳は、元気か?」

「はい…東宮様もお元気そうで…」

「あぁ、かわりない」

ふっと笑顔見せ、土方に目線をやり

「新選組か…」

そう呟き去って行く



狐につままれたのか?

まるで…夏弥のように俺に声をかけ

新選組を愛おしいように見るなんて

夏弥が男になったのか?

不思議でならなかった




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