雨恋~雨のちキミ~
「ウザい」


冷凍庫の製氷入れに両手を突っ込んで何個か取り

それぞれのグラスに落とし入れる

そこに麦茶を注ぐと、氷とグラスがぶつかり

カランと涼しそうな音を立てた


「次から次へと羨ましいことですなぁー」


「うっさいなー。テスト勉強ちゃんとしてるん?」


「おー、任せろ。赤点ギリギリ取る自信あるで」


「あっそ。死ねばいいのに」


「『死ね』?!」


あたし達の周りでは挨拶と同じぐらい

至極当然に使われている言葉を残し

麦茶とお菓子入れに入っていたポテトチップスをお盆に載せ

リビングを後にした


「お待たせー」


部屋のドアを開けると、ローテーブルの隅に追いやって積み上げていた

教科書類の一番上にあるノートをめくっていた里やんが顔を上げる


「勉強してる?」


今さっき、まさに自分が吐いてきた言葉を言われ

思わず返事に詰まってしまった


「………するつもり、ではおるんやで?」


ちゃんとした答えになっているだろうか


テーブルの上に麦茶を置き

腰を下ろしてポテトチップスの袋を引っ張って開けた


「自分………理数系弱いんやろ」


里やんが手にしているのは物理のノート
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