君に捧げる花束を
あの二人を見てから…、
『見合い相手。』
函南君の言葉は覚えていた。
…だから、あまり驚きはしなかった。
そりゃ、決められた相手なんていうのは、凡人にとって未知の世界の話だから、戸惑いは覚えたけれど。
嫉妬や羨望は込み上げてこなかった。
だって、相手は雲の上の存在と言ってもいい程の人。
あれだけ何もかも整っている人に、そんな感情をおぼえるのもおこがましいのかもしれないけれど。
でも感じたのは、ただの不安と恐怖だった。
そう、きっと、彼女のあの暗い瞳を見た時から歯車は狂い始めた。
65日目ーーー。
忍び寄る影は、まるで太陽を覆う雲のように。
嵐をもひきつれてくる予感がした。