君に捧げる花束を
その空気を破るように、静かな声がかけられた。
黒いサラサラの髪。
走ったのか、微かに息を乱していて、
涼しげな表情は、何かに焦っているように少し崩れている。
「話がある…。来て。」
函南君の、穏やかだけど、無為を言わせない口調。
それに対して、満更でもない表情の北条さん。
重い空気の中、二人は教室から出ていった。
「清花…。」
まりあが気遣わしげな顔で、清花を見つめた。
野風も無言で清花を覗き込む。
「こ…こわかった…。」
まりあがぽつりと零した言葉を合図に、少しだけ空気がほぐれた。
「きーちゃんの事見る目、マジだっだもん!なんていうか、妬んでるどこじゃなかった!!」
渚波ちゃんも口元を強ばらせて興奮したようにまくし立てた。
最初の儚げで清楚なイメージが崩れたと、皆少なからずショックをうけたみたいだった。
そんな中で、坂田君が何かを思案した挙句、はっとしたように眉間にシワを寄せた。
「もしかして、北条さん…
ゆいてぃーのカノジョ?…許嫁ってやつ?」
坂田君が珍しく神妙な面持ちで、問いかけると、美乃莉ちゃんが信じられないというように顔を上げた。
でも何かに気がついたように、すぐにふらりと視線を揺らした。
「函南君、どこかの社長の息子だもん…。きっとそうだよ。」
そういいおいて、美乃莉ちゃんが唇を噛んだ。