2・5次元の彼女
と、突然景斗が早足で私の元にかけ寄ってきた。

「ユウさん、ここを出よう」
そう言うと、目も合わさないまま、私の手首をぎゅっと掴む。

何!?
どういうこと!?

手首から全身へ伝わる衝撃と痛みで、私は頭が真っ白にフリーズする。

引き留めようとするHARUをすり抜けて、私をひきずったまま景斗は玄関へと進む。

「待って! やだ、痛い!」
訳が分からないが、とにかく私はその手を振り払った。

「ユウさんだって、分かってるはずだ。こんなことしてちゃいけないって」
景斗が肩に触れ、うつむく私の顔を無理やり持ち上げた。
真っ直ぐな瞳が私に刺さる。

あまりにも必死な形相の景斗に私はたじろいでしまった。

何なの?
自分はさっさと彼女を作って幸せになったくせに。私のことなんて、もうどうでもいいんじゃなかったの?
何がしたいっていうの? 訳がわからない。
彼らしからぬ強引さに、つい拒否感が先走ってしまった。

「勝手なこと言わないで! 放っておいてって言ったじゃない!」
私は身体を捩じらせて抵抗を示す。

すると、見かねたHARUが私と景斗との間に身体を割り込ませた。
「景斗、彼女自身が嫌がってるんじゃ話にならない。悪いが、帰ってくれ」
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