2・5次元の彼女
景斗はHARUの身体に阻まれ、抗いながらも、必死に私へと腕を伸ばす。
「ユウさん、弱味って何!?」

「……!?」
叫んだ景斗の言葉に、背筋が凍った。
まさか。
その単語から思い当たる節はひとつしかない。
いや、そんな訳はない。景斗があのことを知るはずがない。

唇をかみ締めて平然を装う私に、HARUは申し訳なさそうに視線を送ってきた。
「……悪い、口が滑った」

HARUの力が緩んだ一瞬の隙をついて、景斗が私の懐へと入り込む。
「どういうこと? HARUさんに一体何をされたの?」
再び私の肩を掴む景斗。その瞳は真剣そのものだ。

本気で私を心配している様子が伝わってきて、胸が苦しくなった。
それは悲しくもあり、嬉しくもある。なにより私は困惑していた。
迫力に圧倒され、深く考えることもできずにそのままの事実をポロリと溢す。

「……裸……」
「え?」
「……裸の写真、撮られた」
「な!?」

景斗が言葉に詰まった。私の言ったことの意味を理解したのだろうか。

言葉に出してみたら今さらながらに恥ずかしさを感じて、私は全身がかぁっと熱くなった。
だって、裸の写真を撮られたってことは、私とHARUがそういう関係ってことで、それが景斗に知られるなんて。
今さらそんな恥じらいをぐるぐると巡らせる私をよそに、景斗は愕然とした表情をしている。

次の瞬間、
「お前!!」
景斗が後ろにいたHARUの襟首に掴みかかった。

「!!」
私は一瞬の出来事に動けぬまま、息が止まる。

叫んだ景斗は、ドッと低い音を立ててHARUを壁に押し付けた。
「どういうつもりだ!」
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