幸せそうな顔をみせて【完】
 自分の部屋に戻った私はリビングのテーブルの上に置かれた袋を見る。中にはレトルトのおかゆや雑炊。ゼリーにプリンなどが入っている。これは全部尚之が私に持たせたものだった。自分で出来ると言ったのに、尚之は頑として譲らず、コンビニに寄ると、かごの中に色々なものを入れていく。


 何度も断ったけど、結局は尚之にされるがまま、買い物袋は私の手に持たされ、自分のマンションの中に押し込まれた。エントランスで尚之は私を見つめニッコリと笑う。


「明日は目を腫らしてくるなよ。目を腫らしていたら、俺は契約はしないから」


「何それ?」


「意地悪に決まっているだろ。俺はそういう男だよ。じゃあな。おやすみ」


 本当。尚之は昔から変わってない。意地悪と言いながらそれは私に対する優しさ。泣き止むまで傍に居てくれて、一人で泣かないようにと意地悪を言う。


 副島新があの女の人と一緒に居たのを見たのは二回目。でも、一回目のショックよりも二回目の今回の方がショックは大きかった。一回目はもしかしたらたまたま会った友達とか知り合いとかあるかもしれないけど、二回目の今回はたまたまなんかじゃないってこと。


 親密そうなのは一回目よりも二回目。もう決定的だと思った。


『これからどうしたらいいんだろう』


 別れる覚悟をするなら、この気持ちをぶちまければいい。でも、別れたくないなら、この事実を自分の胸の沈めて笑うしかない。全てを受け入れ、傍に居るのが私には出来るだろうか?
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