幸せそうな顔をみせて【完】
 副島新の誕生日は三月の二十日。二十七年前の春分の日が副島新の生まれた日。

 夏に近づこうとしている今、誕生日はとっくに終わっている。それにあの時は仕事が忙しくて皆でのお祝いと称した飲み会も出来なかったし、私も気にはなっていたけど、『誕生日おめでとう』の言葉さえ言えなかった。


 でも、これからの誕生日をずっと一緒に過ごすことが出来るのかもしれない。その時は必ず副島新の為にケーキを焼こう。そして、この世に生まれてきてくれたことに感謝するだろう。

「楽しみにしてる」


「うん。時間が結構あるからそれまでにどんなケーキが食べたいか考えて置いて。新が食べたいと思うものを作るから」


「ああ。さて、そろそろここを出てどこかに出かけようか?」


「うん」


 レストランを後にするとエレベーターで一階まで降りると、そのままホテルに車を置いたまま副島新は外に向かって歩き出したのだった。ここに車を置いていくのだろうか?


「どこに行くの?」


「今日のメインイベント。ついて来れば分かる」


 そんなことを言うけど、今日のメインイベントはさっきのランチではなかったのだろうか?それくらいにさっきのレストランは凄かった。なのに…まだメインイベントは終わってないのだろうか?

 というか、今日は食事をしてブラブラするって言ってなかった?


 この後、どうなるのだろう?
 横を歩く副島新の顔からは何も読み取れなかった。
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