幸せそうな顔をみせて【完】
寝ていた私が悪いのかもしれないけど、いつの間にか副島新のマンションの駐車場に連れて来られていて、歩けるかとか抱いていくとかの選択肢を迫られている。でも、フワフワした感じの抜けない私は思考が纏まらない。
「自分で歩く…。っていうより、今日は自分の部屋に帰る」
昨日も泊まっているし、今日は自分の部屋に帰ってゆっくりしたら、このフワフワした感じも治まるような気がした。だから、自分の気持ちを素直に言ったのだけど、それはさっきまで優しい顔をしていた副島新の顔をまた一瞬で歪めさせる。
自分では至極真っ当なことを言ったつもりだけど、副島新にとってはそうではなかったらしい。何をどう間違ったのか自分の言葉を思い返すけど、どこも悪いところはなかったと思う。
「そんなの許すわけないだろ。熱のある葵を一人暮らしの部屋に帰すくらいなら、俺も葵の部屋に泊まる」
私の部屋に副島新が泊まる?
それはかなり無理がある。そんなに散らかってないけど、所詮は一人暮らしのワンルーム。副島新が泊まれるほどのスペースはない。
熱があると言っても少しフワフワするくらいだから一人でも大丈夫だと思う。そう思って、見上げて……諦めた。
「自分で歩く」
見上げた先にあった副島新の瞳は真っ直ぐすぎて私にはそれを拒むことなんか出来なかった。いつも自信満々で仕事にも何もかも秀でた人なのに、私のために浮かべた表情はそのどれもを捨て去っていて、その私を思う瞳の中の光に吸い込まれそうだった。
「自分で歩く…。っていうより、今日は自分の部屋に帰る」
昨日も泊まっているし、今日は自分の部屋に帰ってゆっくりしたら、このフワフワした感じも治まるような気がした。だから、自分の気持ちを素直に言ったのだけど、それはさっきまで優しい顔をしていた副島新の顔をまた一瞬で歪めさせる。
自分では至極真っ当なことを言ったつもりだけど、副島新にとってはそうではなかったらしい。何をどう間違ったのか自分の言葉を思い返すけど、どこも悪いところはなかったと思う。
「そんなの許すわけないだろ。熱のある葵を一人暮らしの部屋に帰すくらいなら、俺も葵の部屋に泊まる」
私の部屋に副島新が泊まる?
それはかなり無理がある。そんなに散らかってないけど、所詮は一人暮らしのワンルーム。副島新が泊まれるほどのスペースはない。
熱があると言っても少しフワフワするくらいだから一人でも大丈夫だと思う。そう思って、見上げて……諦めた。
「自分で歩く」
見上げた先にあった副島新の瞳は真っ直ぐすぎて私にはそれを拒むことなんか出来なかった。いつも自信満々で仕事にも何もかも秀でた人なのに、私のために浮かべた表情はそのどれもを捨て去っていて、その私を思う瞳の中の光に吸い込まれそうだった。