嫌いになりたい
「章………」


「今日はゴメン」


章吾が何に対して謝っているのか

あたしには分からない

章吾からふわりと漂う匂いがこの前とは違って、それがまた胸を苦しくさせる


「………ここに来て、良かったの?」


「何で?」


顔が見えるぐらいまで離れ、首を傾げてあたしを見下ろす章吾


「章吾、前とは違う匂いがする。これ………女の人の香水、でしょ?」


問い詰めちゃダメ

あたしは章吾の彼女じゃないんだから…


そう思うのに、胸が苦しくて

聞かずにはいられなかった


「あー…、うん。さっき、一緒にご飯食べに行ってたから」


「………ふーん…」


苦しくて、嫉妬に駆られそうで

だけど、立場上それ以上追究出来ない


「何で………来てくれたの?」


電話を切った後、お風呂に入って

ご飯も食べる気になれず、冷蔵庫の中で冷やしていた缶ビールを2本ほど飲んで

いつもならそれぐらいどうっていうこともないのに

家で飲んでいた安心感からか

気分が不安定になっていたからか

気が付けば、ローテーブルに突っ伏して寝ていたあたし
< 46 / 69 >

この作品をシェア

pagetop