嫌いになりたい
「良かった」


『何が?』と聞き返そうとして、章吾の唇に言葉が呑み込まれてしまう

甘く絡みつく章吾の舌に、何も考えられなくなるけれど

間違いじゃなければ、唇を塞がれる瞬間


『断られなくて』


と聞こえた気がした


「───ふ、…あっ…章………吾…」


体の奥が痺れていく


「ラビ、お酒の匂いがする」


唇を離し、フッと笑う章吾


「一人で飲んでたの?」


黙って頷くと


「俺にもちょうだい。喉、乾いちゃった」


頬や首筋、鎖骨をなぞる章吾の指先に体を震わせる


「ちょっ…、待って…。ビール取ってくるから!」


このままじゃ力が抜けて崩れ落ちそうだったから

慌てて章吾の胸を押し、叫んだ


「ここで立ったまま飲まなきゃダメ?」


困ったように笑う章吾に、少しだけ躊躇いながらも部屋の中へ上がってもらった


「あー、美味(うま)っ」


プルタブを開けると、一気にビールを煽る章吾

あたしもその向かい側に座り、同じようにビールを開けると

章吾がポンポンと隣を叩き、あたしを見た
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