嫌いになりたい
「んっ………や、ダメ…」


章吾の冷たい指を受け入れた場所が、淫猥な水音を鳴らしている


「嫌なら止める?」


ピタッと動きを止め、引き抜いた指先を舌で舐める章吾と目が合った

その姿がものすごく妖艶で

あたしの喉から、恍惚の溜息が漏れる


「止め…ないで………」


どうしてこんなに魅かれるんだろう

女の人なら誰でもいいって分かってるはずなのに

肉体関係なんて、もう二度と持ちたくないって思ってたのに


章吾とならどこまでも溺れていい


そう思ってしまう


引き起こされ、章吾の上に跨る形で揺らされる体

体の奥底から快感が込み上げ、恥ずかしい声を上げながら何度も彼の上で達した

それでも章吾が果てることはなくて

あたしを下にした後も何度も深く繋がり、最後は章吾の腕に抱かれ深い眠りに落ちた


「章吾…?」


スズメが窓の外で鳴いている

夜が明けたんだと気付き体を起こすと、隣に章吾の姿はなかった

テーブルの上には、二人で飲み終えたビールの缶が残っている

不倫をしてるわけじゃない

だけど一緒に朝を迎えられない関係に、また胸が締め付けられた
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