嫌いになりたい
「結構待った?」


「んーん、そんなに」


一番最初に入ってきた人と言葉を交わす富永さん

二番目に入ってきた人は、黙ったままあたし達にお辞儀をする

あたし達もそれに倣って頭を下げ

顔を上げた瞬間───


う………そ…


体が凍り付きそうになった


「どうもー」


最初に入ってきた人は、真ん中に座る富永さんの向かいに腰を下ろし

二番目に入ってきた人は、あたしの向かいとは反対側に座る

そして最後に入ってきた人物が、残った目の前の席に座った


何で…?


背中を冷たい汗が流れていく

お店全体が空調で暖かいはずなのに、徐々に奪われていく体温


今すぐここから逃げ出したい


目を閉じ、右手で左肘をギュッと強く握り締める


「宇佐美さん?大丈夫ですか?」


心配そうにあたしを覗き込む富永さん


大丈夫じゃない


首を横に振ろうと思ったけれど

情けない笑顔を浮かべて笑うことしか出来なかった
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