嫌いになりたい
何でここに健太が居るの───?


顔が上げられない


せっかく嫌な思い出が薄れてきたのに

こんなところで張本人に会うなんて


あれから8年の月日が経ったけれど

健太は高校の時と全然変わらないまま


あたしのこと………分かったかな…


店員を呼んで飲み物を注文し終えると、自己紹介が始まった


「楠木健太です。最近彼女と別れてフリーなんで、良かったらこれからも遊びに行ったりして下さい」


あたし達3人を見ながら、笑顔で自己紹介する健太


健太はあたしのことに気付いてない…?

それとも、もう忘れてる?


一人で色々考え過ぎていたのかもしれない


「じゃあ、宇佐美さん」


自己紹介を終えた富永さんから声を掛けられ、躊躇いつつも口を開く


「えっ…と、宇佐美…亜弥です。彼女………あ、富永さんの同僚………です…」


場が白けるのを感じながら、それでもこれ以上話すことがなくてそのまま俯いた


「あ…えっと………。飲み物来たし、乾杯しよっ!な?」


皆を見回し、困ったように笑う男性側の幹事

自己紹介してたはずなのに、あたしの耳には一切情報が入ってこなかった
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