オフィスの華には毒がある
いろんなことを考え出すと、止まらないからやめようってば。


一人で歩く帰り道。


″誕生日なのに″なんて、寂しく思う隙もないほどに、色んな感情がごちゃ混ぜで。


……その、感情を一つ一つ見てみると、『恥ずかしい』とか『どうしよう』とか『失敗した』に混じって、なぜかそんなに嫌じゃない気持ちもあって。


そういえば、この時期がわたしは大好きなんだった。
誕生日だから印象的で。

もうすぐ夏が来る、そんな夏の夜の空気感っていうか。


そうだ、だからこんなふわふわしているんだ。


……さっきのことは忘れよう、忘れよう。

自分に言い聞かせながら道を急ぐ。フローズンヨーグルトが溶けてしまう前に家に帰りたいから。
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