オフィスの華には毒がある
「ねー、それ本当なの?あたしも聞いた!」


「でもさー、楓馬、見た感じ相変わらずじゃない?」


「うん、あたしも、フツーに受付嬢といちゃついてるの見た!」


……そうか。
何となくパスタに熱中しているふりをしつつ、会話を聞いていて気づく。

みんな、歳が斉木くんと同じくらいとか少し上とかなんだ。


……若いなぁ。


それぞれに言いたい話があるようで、テーブルは一気に賑わいを増す。

わたしはうんうんと相槌を打ちながら座っているだけで、どんどん話が進んでいく。


……にしても。

なんだかんだ、斉木くんは人気があるんだな、と感心する。


ババアを落とせるか賭けるような最低な一面は、普段誰にも見せないのだろうから。


格好よくて、お洒落で、気の利いたことが言えて。
その気にさせるような、絶妙なトークが得意で。
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