オフィスの華には毒がある
ぐずぐずと考えながら電車に揺られる。


黒い窓に反射している自分の顔があまりにも疲れきっていて、ぞっとする。


わたしは、騙されにいくんだろうか。

て言うか、明日、いくんだろうか。



……本当に、斉木くんは、嘘をついていないのかな。



早く家に帰って眠ってしまいたいと思う。

お風呂に入って、お気に入りのボディークリームをつけて、軽くヨガをやって。

温かい梅醤番茶を作って飲んで、それからそれから……

沢山、好きなことを思い浮かべる。

気持ちの整理が追い付かなくて。


正直、信じたい気持ちが強くなっている自分に呆れているんだ。




自分で自分の気持ちが分からないなんて、そんな馬鹿げた話があるのかな。


電車の揺れに身を任せながら、そんなことをぼんやりと思った。
< 175 / 312 >

この作品をシェア

pagetop