オフィスの華には毒がある
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「あ、それわたしも好きなんですけど!あーあー特にその南瓜とチーズが固まってる部分!」


わたしの台詞に、主任の手が止まる。レーズンと、ナッツと、クリームチーズの入った南瓜サラダはよそでは味わえない美味しさで。


「え、だって遠藤さんさっき豆腐ハンバーグのやつがっつり取ってたからおあいこだろ?!」


「なんですか?そのシステム。わたしもともとこのハンバーグ大好きなんですけど」


「いや俺も定番なんだけどそれ」


いーーーーっとしばしにらみ合い、我にかえる。

「……じゃ、いいですよ、別に。あげます。豆腐ハンバーグ。わたしこっちのビアハムとアスパラのサラダ食べるんで」


「なんかそれじゃ俺がワガママ言って譲ってもらったみたいで格好つかないだろう?!」


「いや、実際めっちゃワガママな末っ子長男ぶり発揮してますけど!!」


「お前……末っ子長男は優しいんだぞ?しょうがない、半分こしよう」


夜の公園に響く、わたしと主任の声。
いくら広めの運動公園の一角とは言え、時間帯を考えたら声は小さい方がベター。
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