オフィスの華には毒がある
そんな理由で、キスを放置されたり、色々無かったことにされたわたしの身にもなってみてほしい。


それからも、くだらない話は続いて。


ただの公園が、とても特別な場所に感じられて。


そうだ。
恋をするってこういうことだ。
好きな人と一緒にいられるなら、それだけでいいんだ。


何をするとか、何を食べるとか、どこへ行くとか。

好きな人と共有することが大切なんであって、内容はどんなものでも幸せなんだ。


……だけど。
その上更にその人と、趣味趣向が合うのなら、もっともっと幸せなのかもしれない。


一緒に過ごせるなら、それだけで。

春も夏も秋も冬も、ぜーんぶ楽しみ。


「そろそろ帰ろうか、エナちゃん」


「いやほんと、その名前出したら罰金ですよ」


「大丈夫、俺お金持ちだから」


くだらない話で、また笑う。


自然に手を繋いで、歩く帰り道。




好きになってくれて、ありがとう。
好きだと気づかせてくれて、ありがとう。


わたしは、しっくりくるこの手をもう、離さない。






【完】
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