オフィスの華には毒がある
***


「なーんで、あたしと彼の愛の証、バックの内側に入れちゃうんですかぁ?」


久々に定時に上がれる!という帰り道、環が絡んでくる。


どうやら、アルパカちゃんがわたしのバックの外側に出ていないのがお気に召さない模様。


「いや、だってこれかわいいでしょ?」


「はい、見た瞬間、きゃー!となりました」


「……カワイイものを堂々と身につけていいのは20代まで。いや、20代後半でも、モノによってはキツいよ?」


「……えー……」


「でも、つけたい、その結果の折衷案が、これなのよっ」


びし、とバックの内側で揺れるアルパカちゃんを指差す。


「そうなんですかぁあ」


不満げな環。


そう言う環の肩から下がっているジル・サンダーのトートバック(中古で格安で買えた!と嬉々として言うところはかわいいと思う)に、アルパカちゃんはいない。

「……環にはついてないじゃん」


「あ、あたしは、彼の愛で満たされてるんで大丈夫でーす!」


「なにそれ、わたしの愛情不足をこのもふもふで補えってことー?!」


二人でぎゃーぎゃー言い合いながら、エレベーターまで足を運ぶ。
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