藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
私は自分の耳を疑った。


「あ、みどり、じゃあ今日6時な」
「あ、みどり、じゃあ今日6時な」
「あ、みどり、じゃあ今日6時な」
………



突っ込みどころが多すぎるさっきの藤くんの発言。


落ち着け、落ち着くんだ、私。


とりあえず深呼吸。


そして、ゆっくり整理をしよう。



「藤くん、佐伯さんのことみどりって呼んでるの?」


「は?あー、そうだけど」



藤くんは気だるそうに答える。



「なんで?」


「いや、アイツの名前だからだろ」


「違う〜!なんで下の名前。しかも呼び捨て〜!!!」


「………だから?」



だからって!!


あの某スポーツ飲料じゃないんDAKARA!!



「……藤くん、私の名前知ってる?」


「何?川嶋だろ」



藤くんに「お前」以外でまともに初めて名前を呼ばれたことに少し心が踊り、ドキッとした。


こんな時まで……なんて私の心臓は素直なの。


って、



「違う〜!!下の名前だよ」


「知らね」


「美波だよ!」


「へー」


「藤くんはタッちゃんだね」


「……は?」


「某少年野球漫画ではみなみとタッちゃんは両想いになるんだよ」


「いや、俺の名前拓也だから」


「……美波って呼んでもいいんだよ?」


「いや、川嶋で大丈夫」



藤くんが今日も相変わらず冷たい件ーーー!!



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