印堂 丈一郎の不可解な生活
脛に噛みついたグール。

メキメキと、筋や骨が音を立てている。

何という咬合力だろう。

骨ごと丈一郎の足を食い千切るつもりだった。

「くそぉおおぁあぁあぁっ!」

残ったもう片方の足で、グールの顔面を蹴る丈一郎。

一度ならず二度までも、グールは引き剥がされてしまった。

片腕、片足。

二ヶ所も咬まれた。

もうアンデッド化は決定的だろう。

「あぁあぁあ…くそっ…くそっ!」

悪態をつきつつ、丈一郎は体を引き摺る。

例えアンデッド化するとしても、このグールは野放しに出来ない。

ここでやっつけておかないと。

不思議と丈一郎の頭には、そんな思いがあったらしい。

自分が絶体絶命の窮地に立たされているのに、まずグールを倒す事だけを考えていたらしい。

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