印堂 丈一郎の不可解な生活
眷属にされてしまった咢も、それを屠ろうとした雪城も、『黄金の魂』の持ち主。

唾棄すべき悪に立ち向かう、人間としての真の強さを持った『黄金の魂』の持ち主。

二人には不可解な友情があった。

覚悟なき者には理解できない、不可解な友情があった。

「それに」

雪城は丈一郎を押し退け、両手に握った逆手持ちの鍼を構える。

「調息使いならば、化け物は殺し切る事が使命」

「えっ」

振り向く丈一郎。

視線の先には、脳天を貫通されたにもかかわらず、ゆっくりと立ち上がる咢の姿があった。

マリオネットが糸を引っ張られるように、不自然な仰け反るような姿勢で立ち上がっていく…。

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