印堂 丈一郎の不可解な生活
使命なんて言うのもおこがましいけど。

そう言って、お爺ちゃんは語った。

「こんな技術を使えるのに、お前さんのような人間を見て見ぬふりをするのもあんまりだろう?だから助けた。調息を使える者の責務としてな」

傷ついた丈一郎の足取りに合わせて、ゆっくりと歩く。

そこから、丈一郎は終始黙り込んだままだった。

傷が痛むと思ったのかな。

「命に別条はない。もう少しで店に辿り着くから、辛抱するんだ」

お爺ちゃんは丈一郎を励ましながら歩いた。

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