Hello!!うつ病!!
はじまり

「…つまり、一般企業の就職活動で失敗したからこっちの道に来たんですね。」

耳が痛い言葉だ。
反論ができない。
それは事実だからである。

大学は子ども系の学科を専攻した。
別にそっちの道に行きたかったわけじゃない。
何となくの理由と特待生受験ができたからだ。
そして女子大希望。
おかげで4年間授業料免除、
そして保育士資格と幼稚園教諭の免許を取得した。

しかし、俺は1年生の時から子ども系の道には進みたくないと考えていた。

俺にとって保育士は、子どもに関係する仕事は
聖職者である。
これは俺の持論だ。
子どもの為になることを考え、自分の苦労や利益をいとわない。
責任と使命を負い、子ども達を導いていく。
保護者の支えとなり、保護者と共に成長を見守る。
その為には、保育士は知識と技術を沢山必要とする。

無理だ。
俺には到底できない。
保育士になる責任も無い奴が民間企業での責任を果たせるのかと問われれば
それは返答に困らされる。
しかし、そうは言っても
子どもの命を預かるということが自分にはとても重かった。
大怪我をさせた時
死んでしまった時
俺にはどうすることもできない。
そんな恐怖は体をすぐに支配した。

3年生になり、学年で誰よりも早く就職活動を開始した。
おかげで、何人かが就職活動の相談を俺にしてきたり履歴書の添削を頼んできたりした。
しかし、誰よりも内定を取るのが遅かった。

企業が運営する保育園。
保育園は恐らく余裕で3桁を超え、保育園サービス以外も色々なサービスを行っていた。
そんな企業に対する俺のイメージは
「ピンク」だった。
温かくて、愛情に溢れ、人の為に力を尽くそうとする企業。
…辞めた今でも思う。実に素敵な企業だ。

時期的に遅かったこともあり
選考は少々変わった形で行われたが
自分の考えがとても述べやすい環境だった。

それは、この企業の雰囲気をとてもよく出されていた。
面接も、自分の意見を言いやすい雰囲気を出してくれた。
こんなにすらすら言えた面接は初めてだ。



「…つまり、一般企業の就職活動で失敗したからこっちの道に来たんですね。」

そして冒頭の言葉である。
自分はこんなことは言わず、エピソードと違う考えを交え
全然違う言葉を伝えたはずだ。

…落ちたか?
言われた直後は思った。
やんわりと否定はしたが、恐らく聞き入れてはもらえていない。
とりあえず社会人1年目は就職しなくてはと考えていた俺は
3月の時期になっても内定をもらえていなく、ここを最後の希望だと思い選考を受けたつもりだった。
また失敗かと落胆し、最後まで面接を受け
園の見学をし、帰宅した。

3月28日
新年度まであともう少しの日。
内定の電話をもらった。

嬉しいはずだった。
とりあえず社会人として、世間の道を外すことなく歩いていける。
喜ぶべきだった。


そうだ、本当なら喜ばなくていけないんだ。



でも、その時に俺を襲った気持ちは
喜びでもなく
期待でもなく



不安と緊張だけだった。
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