立花課長は今日も不機嫌
そこに悪意が込められていないことは分かっているから救われるけれど。
「沙月さんは何着るんですか?」
入江くんが興味津々に聞くけれど、沙月は軽くあしらうばかり。
自分の唇に人差し指を当てて「しーっ」と、子供でも躾けているように入江くんに接する。
入江くんは「ちぇっ」なんて言って、拗ねた顔をするのだった。
「あ、そうだ」
突然、沙月がパチンと手を叩く。
何か名案でも思いついたらしい。
「杏奈は衣装があるじゃない」
「……衣装? 何?」
「バニーちゃん」
沙月がニヤリと笑う。
嫌な名案だ。
「…………」
「バニーちゃんってなんですか? え? ウサギちゃん? 杏奈さん、コスプレの趣味があったんですか」
妙に食いついてくる入江くんを手でシッシと払い
「……沙月の意地悪」
ニッコリ笑って茶化す沙月に、恨みを乗せた眼差しを向けたのだった。