立花課長は今日も不機嫌

トクトクトクと鼓動がスピードを上げていく。


「……ちょっと行ってくるね」


重い足を何とか前に出して、ミーティングルームの前まで着いた。


もう中にいるのかな……。


ノックもせずにドアをそーっと開けて隙間から中を覗くと――……



――ひゃっ!



ほんの数ミリの隙間で、立花さんとバッチリ目が合ってしまった。

思わず勢いでドアをパタンと閉めると、中から「何をしている」と地を這うようなおぞましい声が聞こえてきた。

その声に、昨夜同様縮み上がる。

かといって、そこから逃げ出すわけにもいかず、再びドアを開けて、「失礼します」と恐々中へ入った。

< 19 / 412 >

この作品をシェア

pagetop