立花課長は今日も不機嫌
ずっと気を張っていたせいか、沙月のそんな顔を見て思わず涙が出そうになる。
「……どうした?」
「うん……」
「やっぱり立花さん絡み?」
素直に頷いた。
沙月には、立花さんからお金を渡されたことはもちろん、親の借金返済という大それた嘘を吐いたことも話しそびれていた私。
そこから話し始めると、「なんでそんなすぐバレる嘘なんて吐いたのよ」と半ば呆れ顔をされて、ごもっとも故に落ち込む。
私だって、何度そこを悔やんだことか。
本当のことを言おうとしてタイミングを逃し、次こそはと先延ばしにしていたことのツケが回ってきたのだ。
立花さんに嫌われたくないがために吐いた嘘で、嫌われるどころか、どうでもいい人間に成り下がってしまった。
「……全部自分が悪いんだよね」