立花課長は今日も不機嫌
きっともう、立花さんとの関係修復は不可能。
風紀委員なんて言われているくらいの人なのだから、嘘を吐く人間と相容れないことは想像に容易い。
「でも、あの立花さんがお金まで融通するとはね」
そこは未だに私も疑問だ。
「私も驚いた」
「杏奈のこと、相当気に入ってるんだね」
「――っ違うよ、そんなことない」
「えー? だって、何とも思ってない人に返済はいつでもいいって言える?」
「自分のためだって言ってたし。私がいつまでもアルバイトを続けていたら、見逃していた立花さんの立場も危うくなるからって」
「……まぁ、それはそれで立花さんらしいけど」
まだ納得がいかないのか、沙月は疑念たっぷりに私を見た。
とそこで、賑やかな空気を引き連れて、例のごとく入江くんが休憩室に入って来たのだった。