立花課長は今日も不機嫌
「すみません」
「あら、杏奈ちゃんが私に謝る必要は全然ないのよ? ただ……」
「……ただ?」
「そろそろ閉店の時間なのよ」
「あ、そうですよね。すみません、長居してしまって」
気付いてみれば、店内には私たちと立花さんの3人だけだった。
支払いの準備をしようと慌ててバッグを漁ると
「やだ、違うのよ」
良樹さんが年配の女性がするように、私に向けてスナップを利かせて手を払った。
「海人を頼みたいの」
「……はい?」
「私ね、実はこれから約束があって。海人を送って行く時間がないのよ」
つまり、立花さんを私に託したい、と。