立花課長は今日も不機嫌
「で? 入江はどうしたんだ。仲良く飲んでただろう」
「……えっ?」
なんだか今の言い方が、どことなくヤキモチっぽく聞こえたのは……気のせい……?
やだ、私ってば。
都合よくとってしまうのは、私の勝手な恋心のせいだ。
「――あ、いや。ったく、俺は何を言ってんだ」
立花さんは頭をクシャっとかき上げた。
「すみません、良樹さんから頼まれて……」
預かった合いカギをカウンターに置く。
「良樹さん、これから約束があるとかで……。入江くんには先に帰ってもらいました」
立花さんは、「兄貴のヤツ……」とかろうじて聞き取れる声で呟くと、大きなため息を漏らした。