立花課長は今日も不機嫌

カウンターに預けていた身体を素早く起こすと、立花さんはすぐにいつもの厳しい表情を取り戻した。


「すみません」


思わず先に謝罪してしまう。


「……何に対しての謝罪だ」


そう言われてしまうと、あまりにも多すぎて、すぐに言葉が出ない。
強く問われたことで、背筋がピンと伸びた。


まずは……


「私が今ここにいることに対して、です……」

「そうだな」


あっさり肯定されて、その後の言葉が続かない。

嘘は吐かれるし、私を庇ったことが原因で人事からは外されそうだし、立花さんからしたら踏んだり蹴ったりの事態。

きっと顔も見たくないに違いない。
だから、肯定する気持ちは痛いほどに分かる。


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