立花課長は今日も不機嫌
「何よこれ……ひどすぎる……。しかも、立花さんの後任って、鳥塚専務の息のかかった人だよ」
沙月の言葉で、怒りがふつふつと沸いてくる。
目障りな人間は遠くへ。
取締役だからといって、こんなやり方は汚すぎる。
立花さんは……?
今、どうしてるだろう。
そう思い始めたら、いても立ってもいられなくなった。
「沙月、私ちょっと行ってくる」
「え? 行くってどこへ?」
沙月の質問にも答えないまま、人をかき分けて輪から飛び出した。
立花さんは悪いことなんて何ひとつしていない。
その立花さんがこのまま海外へ行っちゃうなんて。
……そんなことは絶対に嫌だ。