立花課長は今日も不機嫌

見知らぬ番号からだったせいか、不審そうな声色。


「あの、杏奈です」

『――はいっ!?』

「岩瀬さんですよね?」


私がお店にいたときに、唯一私を指名してくれたお客さんだ。


『あ、あ、杏奈さん!? あの杏奈さんですか!?』


素っ頓狂が声が耳に響いた。


「はい、プリマベーラにいた杏奈です」

『い、い、一体ど、どうしたんですか?』


変わらない話し方が何だかホッとさせる。


「ちょっと聞きたいことがあるんです」

『杏奈さんが、ぼ、ぼ、僕に?』

「はい。消してしまったEメールを復元することってできないでしょうか」


名刺を改めて眺める。

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