立花課長は今日も不機嫌
システムエンジニアという肩書が、今の私には光り輝いて見えた。
『も、もちろんできますが』
「――ほんとですか!?」
思わずその場でピョンと飛び跳ねる。
『大切なメールを削除してしまったんですか?』
「いえ、私じゃないんですけど……。復元していただけないでしょうか?」
『杏奈さんのではなく……?』
ゆっくりと投げかけられた質問。
戸惑っている様子が電話越しに伝わってきた。
「実は、会社のパソコンなんです」
『杏奈さんの会社の……? えっと……それをぼ、僕が、ですか……?』
「はい」
『……それはその……お仕事として、ですか? それとも個人的に、ですか?』
「個人的に、です」