立花課長は今日も不機嫌
「詳しいことも話さずに連れてきてしまってすみません」
「い、いえっ……でも……」
岩瀬さんが肩を丸める。
飛んでもないことに首を突っ込んでしまったと後悔しているのかもしれない。
「実は、ある人を助けたくて……。その人を助けるためには、専務の不正を暴かなきゃならなくて。……それにはメールを復元するしかないんです」
「ふ、不正、ですか……」
「はい」
判断に迷っているのか、岩瀬さんは激しく瞬きを繰り返し、忙しなく顔をあちらこちらへと向けた。
どうしよう。
やっぱりやりたくないと言われたらおしまいだ。
立花さんを救えなくなる。
私はここで断念するわけにはいかない。
大きく深呼吸をして、深く頭を下げる。