立花課長は今日も不機嫌
相手は岩瀬さんだ。
別にどうということはない。
「例の約束って何ですか?」
入江くんが沙月と私の顔を交互に見比べる。
「入江くんには関係ないの」
沙月にグイと顔を押し戻されて、入江くんが不満顔を浮かべる。
「ちぇっ、いっつもいっつもツレないんだからなぁ、沙月さんは」
「ごめんね、入江くん。今回のことは、本当にありがとう」
今回の一番の功労者は岩瀬さんだけれど、入江くんの情報がなかったら出来なかったことだ。
口の軽い同期くんが人事にいたおかげでもある。
「まぁ別にいいんですけどね」
「だから、今夜は沙月と二人で私の分も思いっきりお祝いしてきてよ」
私の一言で、入江くんの顔がパッと明るくなる。
本当に簡単だ。