立花課長は今日も不機嫌
「は、はい、そうです」
恥ずかしそうに向けられたのは、人の好さそうな笑顔だった。
私の勝手な思い込みに過ぎないけれど、システムエンジニアというよりは、弱気な営業マンという方がしっくりくるような気がする。
私も、胸元に忍ばせていた、プリマベーラの名刺を代わりに差し出した。
「――はっ、あったかい」
「あ、ごめんなさい。他に入れておくところがなくて……」
照れながら受け取ると、岩瀬さんは大事そうにそれをしまってくれた。
そんなやり取りをしながらも、気になるのは全く別の方。
立花さんをチラリと盗み見ると、さっきと変わらない体勢で私を見据えていた。
ただ一人ピクリとも動かず座り、視線は私へと突き刺さる。
“どういうつもりだ”
その目がそう言っているのは明らかだった。