立花課長は今日も不機嫌
「は、はいっ」
「一度、ゆっくり深呼吸してみてください」
自分でも何を言ってるんだろうとは思うけれど仕方ない。
私も一呼吸おきたい。
「……え?」
ポカンと口を開けたものの、岩瀬さんはそのまま深く息を吸い込んだ。
私の言うことに素直に従ってくれたのだ。
二人揃って、深夜に深呼吸。
はたから見たら、不思議な光景だろう。
これで少しは冷静になれたかな。
――と思ったのも束の間。
「そんなことよりも、杏奈さんっ」
――っ。
岩瀬さんは落ち着くどころか、鼻の穴を大きく膨らませて、更に一歩、私へ近づいたのだった。
深呼吸作戦は空振り。
「お、お、お願いですっ! ど、どうか、僕とお――、っ!?」
と、そこで岩瀬さんが言葉を失くす。