立花課長は今日も不機嫌
何度か瞬きを繰り返し、もう一度、今度は顔をグンと近づけてみる。
ガラスに顔がくっついてしまうんじゃないかというところで
「お手に取ってご覧になりますか?」
上品な出で立ちをした女性店員さんに声を掛けられた。
そそくさと姿勢を正して、「……はい、お願いします」と言ってみる。
すると、そのスタッフは白い手袋をはめてガラスケースのカギを開け、壊れ物でも扱うような様子で何種類かの万年筆を取り出した。
なんだか貴金属でも扱ってるみたいだ。
「どの辺のクラスをお探しですか?」
……クラス?
やっぱりピンからキリまであるんだろう。
どの辺と聞かれても……。
全く見当もつかない。