立花課長は今日も不機嫌

「えっと……」


弁償するなら、同じものの方がいいかな。

スタッフが並べてくれたものにザッと目を向けてみたけれど、そこに立花さんが持っていたものと同じものは見当たらない。


「ボディが黒くて、このあたりとペン先にゴールドのラインが入った重厚感のあるものなんですが……」

「それでしたら、こちらでしょうか?」


私のあやふやすぎる形容にしばらく考えるような仕草をすると、スタッフはすぐに反応してくれた。

カチャカチャと音を鳴らして別のガラスケースのカギを開け、箱に入ったものを取り出す。


「モンブランのマイスターシュテュックではないでしょうか。こちらは万年筆の中でも一線を画した商品でございます。憧れの1本として選ばれ続ける代表モデルとなっております」


確か、これだったはず。

これはいくらだろう……。

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