立花課長は今日も不機嫌

「いえ?」


立花さんの目が鋭く細められる。

誓約書を書いてしても、私は信用ならないのかもしれない。


「あ、えっと、そうではなくてですね、」


今はその話じゃないのだ。


「夕べは申し訳ありませんでした」


立花さんのデスクへそそくさと歩み寄り


「これ、受け取ってください」


思い切って紙袋を前へ突き出した。


「……それは何だ」

「立花さんの大事な万年筆をダメにしてしまったので……。同じものというわけにはいかなかったんですけど……」


一瞬目を見開いて私を見つめた後


「弁償なら必要ない」


立花さんが再び新聞へと目を落とす。

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