春色最中のコンチェルト
「自分を責めるとか、そんなことするなよ」

「え?」

ふと目を上げると青磁くんの切れ長の目と視線が交わった。


「柄ちゃうから」

「は…?」

「最中は笑ってるイメージしかない」

「それは…どうも」


イメージだ、じゃなくてイメージしかない、というように言い切る所が苦手なのだ。


卑屈な私は卑屈に受け取ってしまう。

私が単なる馬鹿と言われているような気がした。


「青磁くん」

「何」

「偉いね」

「…俺には、最中の方がキラキラしてたけどな」


ドキリ、と胸が鳴った。


キラキラ?私が?


そんなわけない。


「それは…東京のネオンとかの、イメージでしょ?」

私はそんなキラキラした功績もないし、と締め括ると青磁くんが少し首を捻って私を見た。


「功績?」

「賞もらうとか色々あるでしょ」

「自分のこと自分で決めたことがすごい」


それさえ私は逃げるための行動でしかなかったのに。

青磁くんの笑顔は揺らがない。


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