春色最中のコンチェルト
ちょっと不機嫌そうに目を細める青磁くん。


また私は、何かいけないことを言ったのだろうか…

実は、過去の私の失言が原因で青磁くんをひどく怒らせてしまったことがあるのだ。

そして軽くトラウマだったりする。


「あ、の…青磁くん」

「…何」

「なんか…ごめん」

隣に座る青磁くんの目を見られずに頭を下げた。

あの時の目を…見たくない。

「…違う。最中が傷ついた顔しとったから」


私が傷ついた顔すると不機嫌になるのか。

相変わらず優しいんだな。

私は、この優しさが苦手だ。

「…着いた」


その声にハッと顔を上げると、確かに駅に着いている。


「降りなきゃね…」


誰に聞かせるともなく呟いた言葉が、自分の胸にズシリと重くのしかかった。



 
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