春色最中のコンチェルト
「大丈夫ですよ、おばさん。アメリカとかオーストラリアに留学してたんやとちゃうんやから」


私が関西弁で話すと頬を弛めてホッとする静香おばさん。


「良かったわぁ。そや、これが家の車やで」


広い駐車場に駐車してある色とりどりの車たち。


その中に見慣れた白い車を見つけた。


「あっ!ビンゴちゃんだ!」

「ビンゴちゃん?」


怪訝そうに青磁くんが私の顔を覗き込む。


「え、あ…」


昔、私は英会話を習っていて、そこで習った歌が大好きだったのだ。

そしてそれに出てくる犬の名前を車に付けたというわけで。


何故に青磁くんの家の車なのかというと、私の父が車酔いする性質で車を持っていなかったからだ。


「いやぁ、懐かしいわぁ。最中ちゃんビンゴビンゴ言うてなー、…ほらトランク早よぉ入れ青磁」


私が青磁くんに何も答えられずにいると、おばさんが話を進めてくれた。


「…ふぅん」


興味も湧かない、とでも言いたそうな顔で青磁くんが相槌を打つ。




やっぱり、青磁くんは苦手だ。



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