春色最中のコンチェルト
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「ほい、ふうわり着いたで」

車に乗って着いた先には見慣れた看板。


「ありがとう、ございました」

「もーそんな顔しんとって?大丈夫よ、昴さんもそんな怖ないって」

静香さんに背中を押されて一歩進んだだけで、生きた心地がしない。


だけど、もう逃げられない。

逃げはしない。


また一歩踏み出すと、


「最中…帰ったんか」



雷のように低い声が、耳に届いた。





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