【短編】森田当麻の奇妙な休日
「だから車での行動をやめて、歩きにしたんだ。おかげで疲れたよ」
その当麻の言葉に優衣はハッとした。
当麻は優衣の尾行に最初から気づいていた。
もしかしたら、優衣が車を持っていないのを知っててタクシーを使うと思ったから、金銭的なことも考えて、歩きにしてくれたんじゃないか。
当麻の優しさが身に染みた。
優衣のために、当麻は車を使わなかったんだ。
それは嬉しかったが、素直に礼なんて言えない。
優衣は気づいてないフリをして、話をそらした。