【短編】森田当麻の奇妙な休日


「だから車での行動をやめて、歩きにしたんだ。おかげで疲れたよ」

その当麻の言葉に優衣はハッとした。

当麻は優衣の尾行に最初から気づいていた。

もしかしたら、優衣が車を持っていないのを知っててタクシーを使うと思ったから、金銭的なことも考えて、歩きにしてくれたんじゃないか。

当麻の優しさが身に染みた。

優衣のために、当麻は車を使わなかったんだ。

それは嬉しかったが、素直に礼なんて言えない。

優衣は気づいてないフリをして、話をそらした。


< 32 / 56 >

この作品をシェア

pagetop